女性復職支援に関するSROIリポート(2016年発行)
ママワーク研究所の活動開始から3年目に、SROIという活動評価の手法を知り、専門家の皆様にお力添えを頂き、女性復職支援の地域貨幣価値を試算させて頂きました。
長らく、関係者のみで閲覧する形で提供して来ましたが、近年社会課題への取り組みがNPO外でも広がる中、お尋ね頂く機会も増えましたので、改めてその時のレポートを掲載させて頂きます。
数値は、福岡市内で行った女性復職支援事業を九州7県で実施したものと想定しての推計です。
当時と比べて、女性就労率は高まり、子育て支援も充実していますので、現状と異なるところもあるかと思いますが、産業を問わずスタートアップ(新規事業等事業変革含め)人材が求められる中、まだまだ眠る、潜在就労女性達の可能性をお伝えする資料の一つとなればと思っています。
ぜひ、ご関心ある方ご覧ください。そして意見交換のご希望ありましたら、気軽に事務局までお問合せ下さい。 info@mamawork.net
レポートの概要
2015年に取り組んだ、女性復職支援スクール事業「『主婦から戦略的総務に』プロジェクト」。このスクール参加から再就職した女性達、及び採用企業のヒアリングを元に、潜在的就業女性のキャリア開発が地域社会にもたらす社会的価値を、SROI(社会的投資収益率)を用いて試算しました。手順は以下の通りです。
1. 事業実施の影響を受ける関係者(ステークホルダー)の定義
2. ヒアリング結果を踏まえたステークホルダー各位にもたらされる貨幣価値の明確化
3. 九州7県でのキャリア開発対象者数(スクール受講生予備軍)の推定
4. 投資資本(スクール事業費)の算出
5. 受入れ企業数の推計
6. 九州におけるSROIの試算
具体的には、再就職による所得増加や保育サービスの利用増加、受け入れ企業の既存社員の残業削減や新規事業への取組増加などにより、初年度で約101億2,956万円、4年間で約416億7,650万円の貨幣価値が生まれ、かつ投入資本で除したSROI値は、1年目で76.1倍、4年間で313.3倍との試算を得ました。(下図が試算結果の全容です。)
結婚や出産で一度離職した女性が再就職することで、企業の成長や地域経済の活性化に貢献できることを示す、一つの指標としてのSROI試算。
労働人口が減少する中で、地域全体の発展という視点からも「潜在就業女性達のキャリア開発支援」に官民共に推進する意義を伝える内容となっています。
◆レポート本文はこちらから
なお、本レポートは、2016年度九州経済調査協会「地域研究助成顕彰事業」の助成を受けて実施した研究成果をリライトしたものです。研究機会の提供、長期に渡る伴走など大変お世話になりました。
また、今回レポートを英文でもサイト掲載しております。
◆英文レポートはこちらから
最後になりますが、当時から今まで、レポート活動に関わってくださった皆様に心より御礼申し上げます。
レポート本文でも掲載しておりますが、今回のレポート再編では、以下の皆様に大変お世話になりました。
株式会社日本総合研究所 渡辺珠子様
一般社団法人 World In You 山本未生様
公立大学法人福岡女子大学女性リーダーシップセンター 品川啓介様
2016年のレポートから時を経ていたため、変化を踏まえた新たな視点をご提示いただいたり、NPOや国を超えた発信のご知見を頂いたり、励ましていただいたり。
お陰様での再編成、サイト掲載をすることができましたこと、改めて感謝申し上げます。