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連載「子育てBIZコラム」育児休業は決してブランク期間ではない

「子育てって、仕事に役立つスキルが磨かれるって本当?」
そんな疑問を持ったことはありませんか。
実は、親が日々子どもを育てる中で身につける力は、キャリア形成にもつながるスキルがたくさんあります。
子育て期だからこそ得られるビジネススキル。
今回、パパ×企業コンサルの立場からもその力を体感している、ともにメンバーの中倉さんによる、コラムがスタート。
その名も「子育てBIZコラム」
第3話は「 育児休業は決してブランク期間ではない」
育児休業を経験すると視野が広がる!?
育休には、視野を広げてくれる出来事がいっぱいあります。


 

 女性には出産という人生の一大イベントがあり、その後に長期の育児休業を取得する人も多いでしょう。そして、仕事に復帰したときによく聞くのは、「長期のブランク期間ができて大丈夫だろうか」という不安です。一般的には、育休期間=ブランク(空白)期間とよく言われますが、決してそうではありません。たしかに、現場の業務からは離れるので、その間に実務スキルの向上はストップしますが、前回前々回にも書いた通り、多くのビジネススキルがアップします。今回は育休について、具体的なビジネススキル向上以外のメリットを書きたいと思います。

 

 

 会社で施策や何かの提案を考えるとき、「幅広い視野を持って考えろ」とか「多くの視点から検討しろ」などと言われますが、どうすればそのようにできるのでしょうか?それは、会社や仕事以外の経験や交流を増やすことです。それにより、違う立場で考えたり、違う角度から考えたりすることができるようになります。育児もその経験の一つで、主に次のようなメリットが考えられます。

 

 

(1)ビジネスの異業種交流会以上に、多様なパパ・ママと接することで、全く異なる意識や考え方を持つ人がいることを知ります。その経験により、世の中の多様性を実感し、異なる視点から考えることができるようになります。


(2)育休期間中、会社の仕事では経験できない体験をすることで、視野が広がります。例えば、街中でベビーカーを押すことで、段差やエレベーターなど、バリアフリーについて真剣に考える機会が出てきます。また、平日の日中に住宅街で生活することで、いかに高齢者が多いかを実感し、高齢化社会についてあらためて考えさせられます。

 

(3)子どもがいなければ興味のない、子育て関連の知識習得ができます。例えば、子育てのノウハウ、子育て用品、子育てアプリ、支援サービスなど、時代とともに進化している最新知識を習得することができます。

 

 以上のように、育休期間に自分の知識や経験の幅を広げることで、復帰後に職場でディスカッションする際などに、広い視野や柔軟な発想ができるようになります。それが仕事の質の向上につながりますし、組織としても人材の多様性が高まり、議論の幅が広がって、チームの成果の質が高まるのです。

 

 

私は講演などでは、育児休業期間について次のようにお話しています。

 ・育休期間は、決してブランク期間ではない。

 ・家庭で育児という仕事をして、ビジネススキルを磨いている期間。

 ・新しい知識や経験を増やして、視野を広げている期間。

 ・実際には「育児休業」ではなく「育児就業」である。

 ・育児をする会社に長期間出向したと考えればよい。

 

 これは、女性に限ったことではありません。日本でも男性育休取得率が40%を超えましたが、多くの人は取得期間が2週間以内というのが実態です。育児休業は決してブランク期間ではないので、男性も堂々と半年から1年間、育休を取得して人間の幅を広げていただきたいと思います。「子育ては親育て」です。

 

執筆者 中倉誠二

 

 

中倉ビジネスコンサルティング代表。会社員時代に双子を育てた自身の仕事と家庭の両立経験を活かしながら、企業の働き方改革を進めるために、研修やコンサルティング活動を行っている。中小企業診断士、(株)ワーク・ライフバランス認定上級コンサルタント、NPO法人ファザーリング・ジャパン賛助会員。

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