連載「子育てBIZコラム」定時退社するときに謝る必要はない

仕事の終わり方って、つい周りの空気に引っぱられがちですよね。
でも、時間内でちゃんと区切りをつけられるのは、実はかなりのスキルです。
“定時退社=時間を設計できる人”という視点で見直すと、働き方の景色が変わります。
そんな視点を、パパ×企業コンサルの立場から実体験として語る『子育てBIZコラム』がスタート。
第4話は「定時退社するときに謝る必要はない」。
つい「すみません」と言いがちな場面こそ、感謝と共に軽やかに「お先に失礼します!」でいきましょう。
日本の職場では、定時で仕事を終えて帰るときに「すみません、お先に失礼します」と言う人が多いですね。その「すみません」は、自分だけが先に帰ることに何か後ろめたさを覚えたり、残っている人に申し訳なく感じたりするからでしょうか?
もちろん挨拶の一つとして自然な言葉ではありますが、よく考えてみると、定時に帰ること自体は悪いことでも何でもなく、むしろ本来は当たり前のことです。会社で働く場合、就業時間が決まっていて、その時間の中で自分の役割を果たすというのが基本です。定時になったから帰るというのは、別にズルをして早く帰っているわけではありません。それなのに、何となく「早く帰るのは悪いこと」という空気感があるのは、長時間労働を美徳と考えていた、昭和時代の価値観がまだ意識のどこかに残っているからです。

昭和の高度経済成長期からバブル崩壊の時期まで、日本は右肩上がりの時代で、人口が増加し、市場が広がり、売上も増加し続けていました。そのため、残業して長時間働けば働くほど成果が上がるため、遅くまで残業する人ほど高い成果を出して評価されました。「24時間、働~けますか!」というテレビCMが話題となり、当時そのドリンク剤は大ヒットしました。ところが、今の日本は人口減少社会になり、当時とは環境が大きく変わり、長時間頑張っても高い成果を出せる時代ではなくなりました。しかし、多くの日本企業が昭和の風土から完全には抜け切れず、残業するのが当たり前という意識が、日本人には浸透しています。しかし、残業というのは本来あくまでも例外的なものであり、欧米の企業では定時に帰るのが当たり前で、残業していると「どうしたんだ?」「あいつは仕事ができないヤツだ」と言われます。

今の時代には、むしろ時間内に仕事を終えて定時で退社する人は、仕事の進め方が効率的で、生産性が高いと評価されるべきです。特に時短勤務の人は、残業するという選択肢がないので、帰る時間までに自分の仕事をどうやって終わらせるか、逆算思考で時間を常に意識して働いています。そのため、多くの人が職場内でお手本になるぐらい、生産性が高い働き方をしています。
逆に残業の多い人は、その分の残業代=人件費というコストを、会社に余計に負担させていることになります。そのため、会社から見て十分な成果が出せなければ、費用対効果の低い、生産性の低い社員ということになります。それなのに、「彼はいつも遅くまで頑張っているから」という理由で、いまだに残業の多い社員を高く評価するような、意識をアップデートしていない上司がいるのは本当に残念なことです。ぜひ生産性の高さで部下を評価していただきたいと思います。

もちろん、周囲への気配りとして、帰るときに「お先に失礼します」と挨拶するのは、職場での大切なマナーです。ただし、その言葉に「すみません」と謝罪の言葉を付ける必要はありません。笑顔で自然体で「お先に失礼します」と言えば十分です。むしろ堂々とした挨拶の方が、「普通に定時に帰っていいんだ」という雰囲気を醸し出し、職場全体に良い効果があるかもしれません。
執筆者 中倉誠二
<プロフィール>

中倉ビジネスコンサルティング代表。会社員時代に双子を育てた自身の仕事と家庭の両立経験を活かしながら、企業の働き方改革を進めるために、研修やコンサルティング活動を行っている。中小企業診断士、(株)ワーク・ライフバランス認定上級コンサルタント、NPO法人ファザーリング・ジャパン賛助会員。
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